日本人は怒らなさすぎる。もっと日頃から適度に怒りを表出して、怒ることに慣れるべきだ!そうすれば突発的に「キレて」暴力を振るったり、うろたえて固まることもなくなるであろう。
と、同時に相手からの「怒りを受け止める」訓練も重ねていかなければならない。そこに相手と自分との差異を見つめる高度なコミュニケーションが開かれる、そして怒る時こそ「冷静でなければならない」と説き、「自分はどうしても怒ることができないんです」という人々に向けた「怒る訓練」も解説した一冊。
確か別の著書でもおっしゃっていたような気がするのですが、例え自分が間違っていたとしても、身を守る為に全力で弁解し、時には怒らなければならない。これは人間に与えられた正当な権利である。その上で、逆にふざけた、すぐに見破られる言い訳をするような奴は喝を入れればいいというような話が出るんですね。こんなことを言える人ってなかなかいないよなぁと。
それにしても中島さんの怒るエピソードがいろいろ出てくるのですが、どれも過酷過ぎる・・・。怒る訓練とはこんなにも険しい道なのかと考えさせられるし、それだけならまだしも、危害を加えられる危険があるじゃないですか。もしくは孤立したり。
それさえも訓練を重ねることで、ある程度回避できるようにはなってくるそうですが、お勧めはしないと・・・。
作中騒音問題で苦情を言いに行った家族の話がでるのですが、こんな連中を相手にするときには一体どうしたらいいのか。
氏だからこそ冷静に対処できたのかもしれませんが、それこそ訓練を積んでいない、怒り慣れていない人が対面したら、ブチギレて事件に発展することも大いにありえますし、実際にありましたよね・・・。
他には相手を注意するときは「まず聞き入れられない」と腹を括ること!とされています。
正しいことだから素直に受け取ってもらえるはず・・・なんてことを「おめでたい考え」と批判し、「正しいことだからこそ受け入れがたい」のだと説く。
他人を傷つけず、不快にさせずに動かそうなどと不可能であると。いや、可能かもしれないがそれは嘘で塗り固めなければならないと。
そして更に怒らない人は他人にも害悪を及ぼすと・・・。
それにしても氏の本が面白くて、かなり偏屈してはいますがハッとさせられることも多いですし、なによりとことん考え、追及し、考え過ぎて何を言っているのかわからなくなる程の人なんて、そうそう現れないだろう。
そして残酷で、過酷で、身もふたもない現実を突きつけられるのである。
一緒に借りた、ドラえもんののび太から見る人生訓的な本がつまらなく感じてしまう。