自分の一番好きな話を一つ。
親しげな悪魔
ある青年がいた。外見は今一つでモテず、金も体力もない冴えない男。
ある日「耳寄りな情報がある」と、老人に声をかけられる。口が上手いので家に上がってもらうと、その正体は悪魔であることが発覚する。
あなたが気の毒だからと、悪魔が三つ願いを叶えてあげようと申し出る。青年は「魂をよこせとか、何か裏があるのだろう?」と怪しむ。
悪魔は「頂けるのなら頂きたいが、大丈夫。無理にとは言わない」
青年は訝しがりながらも、第一に不老不死を、次に金、最後に女性を叶えてもらう。
願いを叶えた悪魔は「では、また」と言って立ち去る。
青年は「また?」と不思議に思って聞く。曰く「アフターサービス」なのだと。
その後願い通りに女性が現れ楽しい日々を過ごした後、女性が失踪したニュースをテレビで見かける。やってきた女性にそっくりなのだ。
女性に聞くと、「確かにそれは自分だが、何故かここに来なければいけない気がして・・・」と。
そこに悪魔が現れ言う。「いくら悪魔でも、無から有を作り出すことはできない」と。
ということは・・・?
金の下りが好きで、自分もほぼ同じことを考えていた。
一度に大金を得ても、人生が狂いそうだから毎月一定額(作中では毎日)20万くらい生涯もらえればいいのになぁと。
久々に読み返してみると、最後の悪魔のセリフが実に皮肉が利いていて、なんともいえない気分になった。